愛ほっと便り 1月号 パーキンソン病の主要症状
先月号でパーキンソン病の症状についても少し触れましたが、今月は詳しく書いていこうと思います。まず、パーキンソン病の主要症状としましては、①振戦、②筋固縮、③無動・寡動、④姿勢保持障害の4大徴候というものがあります(※④姿勢保持障害以外で3大徴候ということもあります)。この主要症状が中心となって、様々な障害を引き起こしていきます。
①振戦
- パーキンソン病の場合、安静時にみられるのが特徴で(安静時振戦)、特に上肢に多く見られるが、下肢、口唇、舌などあらゆるところに出現する
- 一般に一側の遠位部により始まり、左右差がある
- 周波数は4.9±0.4Hz(1秒間に4~5回のふるえ)で規則的であり、動作時は抑制され、精神的緊張が伴うときは増強する
- 丸薬丸め様振戦(母指と示指をすり合わせる)
②筋固縮
- 四肢や頸部には鉛管現象(鉛の棒を曲げるように硬い)がみられる
- 手首では特に歯車現象(歯車のようにカクカクした抵抗)が認められ、筋固縮と振戦の症状の合わさったものとされている
③無動・寡動
- パーキンソン病における中核症状で、随意運動障害の総称である
- 動作緩慢を寡動、動作開始の困難を無動と分類することもある
- 小字症、仮面用顔貌(能面のように無表情で瞬目も少ない)、歩行障害(すくみ足・小刻み歩行・歩行速度の減少)は寡動が反映された症状である
④姿勢保持障害
- 立ち直り反射障害が認められ、バランスを崩しても足が出ずにそのまま転倒する
- 歩行時のバランス障害となり、転倒が増加する
- 体幹前傾、前屈、四肢屈曲肢位の姿勢をとる
- 突進現象、加速歩行が認められる
4大徴候の中でも、特に③無動・寡動、④姿勢保持障害は日常生活に大きな影響を与え、Yahrの分類においてもステージⅢに入ったかどうかの重要な判断基準にもなります。これらの症状が進むことで転倒リスクが高くなり、自宅での生活が困難となる方もおられます。現在では服薬で症状が軽くなることもありますので、心当たりのある方はお近くの脳神経内科のある病院へ早めの受診をお願いします。