愛ほっと便り 令和2年11月号 認知症の人のケア

認知症のケアについて、定義や理念を日本で初めて明確に提唱したのはおそらく室伏君士博士ではないかといわれています。

1984年に「痴呆老人の理解とケア」の著書が出版されました。その中で、ケアの原則が述べられていますので、紹介します。

わかりやすい言葉で分類されているので、認知症の人にとって、私たちがどのような存在になることを求められているかが、理解できると思います。また、認知症の有無に関係なく、大切なことではないでしょうか。認知症ケアを勉強するときに、いつも最初に見直しています。

ちなみに、痴呆から認知症に呼び方が変わったのは2004年です。

「認知症高齢者へのケアの原則(20か条)」

不安を解消する

① 急激な変化を避ける

② 高齢者にとって頼れる人になる

③ 安心できる場や状況を与える

④ なじみの集まりをつくる

⑤ 高齢者を孤独にしない

言動や心理をよく把握して対処する

⑥ 高齢者を尊重する

⑦ 高齢者を理解する

⑧ 高齢者と同じ年代にする

⑨ 説得よりも納得を図る

⑩ それぞれの高齢者の反応様式や行動パターンを把握し対処する

あたたかくもてなす

⑪ 高齢者の良い点を見出し、よい点でつきあう

⑫ 高齢者を生活的、状況的に扱うこと

⑬ 高齢者を軽視、排除、拒否しない

⑭ 高齢者を窮地に追い込まない(叱責、矯正しつづけない)

⑮ 高齢者に対し感情的にならない

高齢者に自分というものを得させるようにする

(自己意識化)

⑯ 高齢者のペースに合わせる

⑰ 高齢者と行動を共にする

⑱ 簡単にパターン化して繰り返し教える

⑲ 高齢者を寝込ませない

⑳ 適切な刺激を少しずつでも絶えず与える

 

事業部

チーフディレクター

谷口 由里