褥瘡研修会
愛南町の社会福祉法人御荘福祉施設協会の特別養護老人ホーム自在園において、褥瘡研修会の講師を務めさせていただきました。
18時30分からのスタートということではありましたが、70名を超えるスタッフの方に集まって頂きました。
褥瘡というよりは“床ずれ”と言った方が、わかりやすい方も多いのかもしれません。褥瘡は一度できると治りにくいものですが、予防を徹底することで、褥瘡をつくることなくケアに当たることができます。逆に褥瘡ができてしまうと、ケアが遅れたり、多大な介助量が必要になったりと、生活に大きな影響を与えてしまいます。ですので、いかに褥瘡を予防するか、そしてなってしまった場合はできるだけ速やかに褥瘡ケアを行えるかということが重要なポイントとなります。
さて、褥瘡ができる要因としては、以下のことが言われております。
1.圧迫
2.摩擦・ずれ
3.低栄養
褥瘡というのは基本的に、骨突起部にできやすいので、体重が骨突起部に局所的に掛かっていくと、圧迫が強くなり、一定時間以上圧が掛かったままの状態でいると、褥瘡が発生するということです。
仰向けで寝ているときは後頭部、肩甲骨、脊柱(円背)、仙骨、踵ができやすい場所で、横向きで寝ているときは肩関節や腸骨、大転子、腓骨外顆ができやすい場所です。また、座った姿勢においては仙骨にもできるケースがあります。
褥瘡というのは、外力による軟部組織の血流停止が一定時間以上となり、組織が酸素欠乏により壊死するという定義があり、要は皮膚や軟部組織に酸素が届かないと壊死をしてしまうということです。つまり、圧迫があると毛細血管が圧により潰れてしまい、圧迫のある組織に酸素を供給できないということです。また、摩擦やずれによって、さらに欠陥は引き伸ばされて細くなりますので、そこに圧迫が加わると、余計に酸素が届きにくくなってしまいますし、低栄養の場合であれば、そもそも血液中で運ばれている酸素量が少ないということになりますので、さらに褥瘡の発生するリスクが高まるということです。
その予防として何ができるか、ということを中心にお話しさせて頂きましたが、現場でよく褥瘡ができる場面は、意外なところが多いように感じます。これは私の個人的な印象かもしれませんが、褥瘡発生場面として挙げられるのは、ベッドのギャッジアップ時と、ズボンをもっての立ち上がり介助をしたとき、というように感じております。
ベッドのギャジアップというのは、ベッドの頭を上げていく作業なわけですが、実はこのギャッジアップは、寝ている側はかなりの圧迫を感じます。背中やお尻、足にかけてかなりの圧迫とずれによる摩擦を感じることになります。このままの姿勢でいると、褥瘡リスクが高まって行きます。そこで行わなければならないのが、背抜きや尻抜き、足抜きです。自分で行える方は、不快感に伴い自分で行いますが、寝たきりで動けない方や重度の感覚障害を持っている方には、介助者がこまめに行っていく必要があります。
また、立ち上がりの介助についてですが、介助者が力任せに立たそうという場面をよく見ます。その中で特にズボンをもって立ち上がりを介助するという方も多くいるのではないかと思います。しかし、立ち上がり動作についてのメカニズムを知っているだけで、立ち上がりの介助量は一気に減りますし、ズボンを持たなくてもよいことの方が多いと思います。事実、私は介助でズボンを持つことはありません。ズボンを引き上げて介助をすると、そこに強い摩擦やずれが発生し、そのままの状態で座っていると褥瘡ができているということです。
この2点の褥瘡については、残念ですが、介助者が作ってしまった褥瘡ということになります。知らず知らずのうちに作ってしまう褥瘡というのも、まだまだあるのが事実です。
今回、濱施設長をはじめとする自在園の方に、本当に熱心に聴いて頂きました。私も公私ともども自在園にはお世話になっておりますが、介護に対して志の高い方が多く、愛南町において本当に頼りになる施設であると思っております。今回、研修の段取りを行ってくれた馬詰さんをはじめ、聴講してくれた皆さん、本当にありがとうございました(*^^*)