愛ほっと便り 令和2年7月号 記憶の種類としくみについて

日本において平均寿命が50歳ほどであった昭和20年から75年の時を経て、現在では男女ともに平均寿命が80歳を超える長寿大国へと成長してきました。長寿大国に至る過程において、医療の目覚ましい発展がその基盤となっていることは言うまでもありません。しかし平均寿命の延伸が進んでいく一方で、加齢に伴う疾病が増えたことも否定できません。その加齢に伴う疾病の代表的なものが認知症であるといえます。認知症の厄介なところは誰も認知症になりたくてなっているわけではないということです。認知症の予防だけで完全に防げる病気ではありません。そのことを分かった上で、認知症に対する理解が必要となります。

認知症とは認知機能の低下により社会生活などが困難になる病気の総称ですが、認知機能の低下の中でも特に目立ってみられるのが記憶障害です。今月は記憶についてのお話をしていきます。

 

1.記憶の種類

①意識にのぼらない記憶(小脳、大脳基底核)

手続き記憶・・・特定の目的のための運動や作業のやり方の手順についての記憶(自転車の運転など)

 

②意識にのぼる記憶

エピソード記憶・・・体験や出来事についての記憶(海馬)

意味記憶  ・・・言葉の意味などの知識(側頭葉内側)

 

※アルツハイマー型認知症の場合、側頭葉や海馬の神経細胞の死滅が多いと言われているため、一般的にはエピソード記憶や意味記憶においての障害が目立つ。

2.記憶のしくみ

記銘・・・新たな記憶を作る力であり、海馬の働きが重要である。

保持・・・記銘したものを1か月程度海馬に止め、それ以降は側頭葉で記銘したものを保持する。エピソード記憶や意味記憶を主に保持し、記銘した際の勘定の結びつきに記憶の強さが関係する。

想起・・・保持している記憶から必要な時に取り出す作業。未解明の部分が多い。

※記銘→保持→想起のサイクルを繰り返すことで、長期記憶に変わっていく。

株式会社アクティブモア

代表取締役 久德壮一郎