愛ほっと便り 令和2年8月号 認知症 行動分析について 基礎編1
2012年国内の調査で65歳以上の7人に1人は認知症であることが明らかにされました。今後さらに増加することが予測されます。私たちの身近な人が認知症になり、日常的に接する経験をもつことになると思います。介護看護の現場においても、戸惑ったり悩んだりしながら、適切な対応ができるように取り組んでおります。
今回は認知症の行動分析ということをテーマに、記載します。冷静に分析する姿勢をもち、実践できるよう自分自身も勉強しながら、掲載していきます。
1.アルツハイマー型認知症
関連する認知機能の低下例
●最近の出来事を忘れる
●日付や予定がわからない
●道に迷う
●ものの認識ができなくなる
工夫やサポートの例
●本人がよく見るカレンダーや予定表を置く
●目印や違いをはっきりする
●区別しづらいもの、間違えやすいものを置かない
2.レビー小体型認知症
大脳皮質のさまざまな場所でみられる。後頭葉の機能低下が目立つ。
関連する認知機能の低下例
●視覚認知の障害や視空間機能の障害がみられる
●皮質下の障害を伴うことが多く、その場合は思考のスピードがゆっくりになったり、必要な情報に注意を向けるのがうまくいかなかったりする
工夫やサポートの例
●本人が見えているものを、頭から否定しない
●環境を整える(照明の調整や壁のシミをきれいにする)
●本人のペースに合わせる
●声掛けし、本人が注意を向けたことを確認してから介助を行う
3.血管性認知症
関連する認知機能の低下例
●注意力の低下や障害がみられる
●やることを決め、計画を考えたり段取りをつけて実行するなどの実行機能の低下や障害がみられる
工夫やサポートの例
●頻繁に声をかける
●声のかけやすい位置にすわってもらう
●注意が向けられやすいものを置かない
●次にやることを促しながら、段階的に行う
4.前頭側頭型認知症
前頭葉と側頭葉の神経細胞の変化、損傷
関連する認知機能の低下例
●行動や感情のコントロールや道徳的感情が失われ、気遣いが失われたりする(行動障害型前頭側頭型認知症)
●言葉の意味が分からなくなく(意味性認知症)
●話し方がぎこちなくなる。(進行性非流暢性認知症)
工夫やサポートの例
●感情が高ぶっているときには、場所や場面をかえて気分転換を図る
●物をとる衝動にかられるものを目の見えるところに置かない
●話をまとめるなど、周囲が話を補う
●うまく話せなくても良しという雰囲気をつくる
愛ほっと事業部
チーフディレクター
谷口由里