第5回 若手介護職員スキルアップ研修会

12月21日(金)の19時より、南予地方局7階の大ホールにおいて、第5回目となる若手介護職員スキルアップ研修会を行ってきました。

今回のテーマは「生活行為とリハビリテーション」ということで、介護において大切なことはQOLの向上であるということ、そしてQOLを向上するためにICF(国際生活機能分類)を使えるようになるとよいということを、グループワークを通じてお話しさせて頂きました。

QOLの向上とは、生活の質の向上であり、生活の質とは一人一人違っているために、こちらから探さなければならなければなりません。そのためにはニーズを把握する必要があります。ニーズとは、要望や願望ではありません。要望や願望はデザイアと表現する方が良いかと思います。例えば、現代の医学的において、神経学的な回復が難しいとされている完全脊髄損傷の場合を考えてみます。完全脊髄損傷の場合、両足の麻痺の回復は困難です。そのため、歩行することは現在の医学ではかなり難しいとされております。しかし、患者さん本人が、再び歩きたいと思うのは当然のことです。この「歩きたい」という想いは、デザイアに振り分けられます。医学的、介護的な側面からみるニーズというのは、このデザイアとイコールではありません。ニーズとは、患者さんのデザイアを踏まえたうえで、現実的な視点で考えていかなければなりません。「歩きたい」といった要望がある場合、歩けたら何をしたいのかと掘り下げ、そしてそのしたいことをするための手段が「歩く」ということであれば、他の手段に代替することで、そのしたいことが可能になるのではないかということを話し合いながら、ニーズを策定していきます。

そして策定されたニーズをもとに、そのニーズを達成するために現段階で充足しているプラスの側面と足りないと思われるマイナスの側面を、「心身機能・身体構造」、「活動」、「参加」、「個人因子」、「環境因子」の5項目で考えていきます。これがICFです。その結果、マイナスの側面として挙げられた項目に対してアプローチをし、プラスの側面として挙げられた項目を活かしながら、ニーズの達成にチームで歩んでいきます。そしてニーズの達成がQOLの向上へと繋がっていきます。

ICFは取り掛かる前は難しい分類と思われるかもしれませんが、実際にやってみると意外と簡単にできるものです。実際に今回受講生に行ってもらいましたが、皆さん上手にできるようになっておりました。

さて、次回は2月に第6回目が行われます。今年度のスキルアップ研修会は次回で最後になります。テーマは「地域包括ケアシステム」です。地域包括ケアシステムの重要性をしっかりとお伝えしたいと思います。