愛ほっと便り 令和3年2月号 認知症の方への接し方
認知症の方のBPSDの一つとして“拒否”の事例に接する機会が多くあります。食事や排泄、入浴など様々ですが、拒否があるからといってもQOLの向上の為にいつかはサービスを実践しなければならないときがあります。入浴を例に対応を考えてみたいと思います。
1.拒否の原因を考える
①入浴の意味が分からない
②入浴の仕方が分からない
③羞恥心がある
④記憶違いにより“入った”または“家で入っている”と勘違いされている
⑤声掛けを強制的と感じる
⑥入浴が嫌い、または面倒くさい など
原因は1つではなく複数の原因が理由の場合があります。気長にコミュニケーションをとることは原因を探るだけでなく介助者がご利用者様に安心を与え信頼されることに繋がります。
2.ご利用者様に受け入れて頂けるサービスを探し実施する
コミュニケーションを採りながら入浴以外にご利用者様に必要な介助がないか観察します。入浴を拒否されている方の場合、身体や衣服に表れている場合があります。
①爪が伸びている
②髭が伸びている
③衣服がいつも同じ など
爪が伸びていれば爪切り、爪切りが行えればそれをきっかけに脱衣所での足浴とご本人様に受け入れられる快刺激に繋がるサービスを行います。快刺激の積み重ねにより、まずは“上半身の清拭”など入浴へのステップを勧めてみます。
3.リフレーミングした言葉での声掛け
「“お風呂”は家で入るから」など“お風呂”“入浴”という言葉で忌避感を感じられる方の場合、「爪が伸びているので切りましょう」「足を温めて温もりましょう」「お身体の様子を見て綺麗にしておきましょう」「あの浴槽に入って身体を温めましょう」等入浴という行動を快刺激に繋がる他の言葉に言い換えてみます。積み重ねた快刺激は“喜び”として次の楽しみにつながります。一部の例ですがやはり“コミュニケーション”はご利用者の“喜び”に繋がる最強のツールだと思います。