愛ほっと便り 令和2年6月号 事業部

訪問での一場面

5月某日、A氏訪問の際の話です。

テーブルの上で何か作業をされている様子でした。声をかけると、「紫陽花の葉の色付けをしていたの。」と穏やかに顔をあげられて、答えがかえってきました。「ほら、紫陽花の葉って、葉脈もみえるでしょう。」緑色の粉を、和紙にふりかけて紫陽花の葉の色を作成中。その葉の横に作成途中のはがきがおかれていたので、

これは?と質問すると「それ、昨夜考えたの。どう?」と。

夜雨あと 光輝く紫陽花は 今日も生き生きと美しく

「夜、寝ているときに雨が降っていた。朝起きると、雨はやみ明るい陽射しがさしていた。

ふと庭の紫陽花に目をやると、花葉にしずくがたまっている。紫陽花は雨が好きな花。

今日も1日いきいきと咲いてくれるだろう。

私も、元気でいなければって思って。

これは、俳句ではないのよ、字が多いでしょ。

昨夜は、考えていたら、眠れなかったわ。

夜雨・・が好きなのよ。ほら、芝不器男にもあるでしょ」と。

穏やかで、情緒あふれる話に、私も、A氏のように年をかさねていけたらな、などと思いつつ、「芝不器男 俳句 夜雨」と携帯で検索。

あなたなる 夜雨の葛の あなたかな

これかな?とよんでみましたが、「葛って?」とまた検索。だめだ・・やはりA氏のようにはなれないわ・・と独り言いながら帰路につきました。コロナ感染で緊張の毎日でしたが、ほっとした時間を、A氏のおかげで過ごすことができました。

 チーフディレクター谷口由里