愛ほっと便り10月号 ミラーセラピー
皆さんは脳卒中治療ガイドラインというものをご存じでしょうか?日本脳卒中学会や脳卒中ガイドライン委員会が編集しているもので、脳卒中になった場合の治療方法についてエビデンスを交えて治療時期や項目ごとに推奨グレードを記したものです。一番新しいもので2017年に発行された「脳卒中ガイドライン2015[追補2017対応]」となります。
この中で推奨グレードというのは、以下のように分類されています。
推奨グレードA ・・・行うよう強く勧められる
推奨グレードB ・・・行うよう勧められる
推奨グレードC1・・・行うことを考慮してもよいが、十分な科学的根拠がない
推奨グレードC2・・・科学的根拠がないので、勧められない
推奨グレードD ・・・行わないよう勧められる
つまり、脳卒中に関わる治療者は、このガイドラインに沿って治療を行っていかなければならないとされています。
※詳細を知りたい方は、「脳卒中ガイドライン」で検索してみてください(‘◇’)ゞ
この脳卒中ガイドラインの項目の中に「Ⅶ.リハビリテーション 2-2上肢機能障害に対するリハビリテーション」というものがあります。その中の推奨グレードBの1つとされている治療法が、ミラーセラピーです。
ミラーセラピーとはもともと、インド出身のアメリカの神経科医であるV.S.ラマチャンドラン博士が著書「脳の中の幽霊」で紹介した切断者の幻肢痛に対する治療を、脳卒中に応用したものです。
右腕切断患者の場合、切断された右腕はないにも関わらず、右腕に痛みや、右腕があるように感じるという体験をよく聞きます。それは、脳の中に右腕を感じたり、動かそうとする「部位」があるということで、右腕は切断されても脳の中のその部位はなくなったわけではないということから、「幻肢痛」があるのではないか、というように説明していました。脳卒中片麻痺の場合はその逆で、麻痺した手足に問題があるのではなく、手足に相応する脳の中の「部位」に問題があるわけであり、そこの「部位」に対して治療アプローチはできないかということで、ミラーセラピーは行われています。
脳卒中のミラーセラピーにおいては、鏡に麻痺していないほうの手の動きを写し、あたかも麻痺しているほうの手が動いているような錯覚を引き起こし、「脳をだます」という作業を行います。そうすることで、動かないと思っていた麻痺した腕が、動き始めたという事例も経験したことがあります。
弊社にもミラーボックスがありますので、ご興味のある方はいつでもご連絡ください。