最先端の自立支援型ケアプラン

未来の雇用

オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーンが2013年に「未来の雇用」という論文を発表し、702の職種から近い将来、コンピュータの発展により消えゆく仕事について分析していました。論文発表から数年の月日が流れ、2015年にはGoogle carによる実験走行が行動にて190万㎞を突破し、なおかつ無事故無違反であったことや、人工知能の「Alpha Go」が世界チャンピオンの経験がある棋士から勝利したことなど、消えゆく仕事の現実味はどんどん帯び始めています。

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The Google self-driving cars

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人工知能は敵か味方か!?

人工知能は仕事を奪っていく一方で、人工知能の発展が決して悪いということではありません。私たちが従事している医療、介護の分野では人材不足が叫ばれています。例えば地方の医師不足、超高齢社会に伴う介護者の不足など抱えている問題が多い中で、人工知能の発展は一筋の光ともいえます。医療の場面においては人工知能による診断支援や手術支援ロボットなどの発展により、医師の負担の軽減が図れる可能性があります。また介護の現場においてはロボットスーツやHAL、電動車いすWHILLなどの登場で、介護従事者の介護負担の軽減にも一役買っています。

人工知能によるケアプラン作成

さて、人工知能が介護の世界に大きく踏み込んでくると思われる記事が載っていました。「AIで自立支援プラン」というものです。つまり、自立促進・重度化予防のケアプランを作成できる人工知能の開発です。産業革新機構、セントケア・ホールディングの共同出資によりシーディーアイ(Care Design Institute)という新会社が設立され、2018年4月の実用化を目指すようです。ケアプラン実施後、実施前の要介護状態、アセスメントデータ、実施した週間サービス表など約2万4千件のデータを学ばせ、介入前後で要介護状態が改善したものを「良い」プランとして開発を進めているそうです。最近では自立支援型ケアプランの先駆けともいえる埼玉県和光市の調査を行っています。

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自立支援型ケアプランの難しさ

ケアプラン作成において、実は自立支援型のケアプランというものはかなりレベルが高いものです。従来のケアプランと大きく違う点は「できないことをただ助ける」のではなく、「できないことに対してどのようにすればできるようになるのか」ということをプランに組み込めるかどうかというところです。例えば退院直後の方でしたら在宅に帰って回復するということもあるので自立支援型プランは組みやすいのですが、高齢に伴う衰退であれば自立支援型プランを組んでいくのはかなり難しくなります。こういったケースではケアマネージャーだけではなく、市町村の介護従事者全員で考えていかなければならない問題でもあります。

人工知能に仕事を奪われないために

今後、人工知能による自立支援プランが実用化された場合、この問題は解決されるかもしれません。このことは介護分野の人材不足という観点から言えば大きな助けとなるのは間違いありません。一方で介護従事者の現在の仕事を奪う可能性も大きくあります。ケアプラン作成にかかわるケアマネージャーが一番関係してくるかもしれません。しかし、訪問看護、リハビリに関わる私たちも、人工知能の自立支援プランに選ばれるサービスを提供しなければ、仕事を失っていきます。現段階で人工知能から奪われにくい仕事の共通点としてクリエイティブ性の高いものとありました。私たち医療、介護従事者もクリエイティブ性を発揮できなければ、人工知能に仕事を奪われていくことになるかもしれません。