(公社)愛媛県作業療法士会 坊ちゃんニュース
(公社)愛媛県作業療法士会の広報誌に掲載して頂きました(^^)/~~~
以下の文面を掲載しております。
巻頭言;地域で活躍する作業療法士 南予編
もともと回復期リハビリ病棟でセラピストの一員として、11年間作業療法に携わっていました。目の前にいる患者さんのリハビリに精一杯取り組むことで、日々を過ごしていました。一方、ライフワークの中でリハビリ技術に特化した講習会に行き、いつしか仲間も増えていきました。そこでできた仲間は今でも私にとって大切な宝物です。別に大きな不満があったわけでもなかったので、本来であればそのまま作業療法人生を続けていった方が良かったのかもしれません。しかし、患者さんから出る不満の声が、自分の心の中で次第に大きくなっていきました。「私はここの病院を退院させられたら、どう過ごしていけばよいのですか?」
私の務めていた回復期リハビリ病棟では脳卒中などの中枢神経疾患の方が多く、入院期限を過ぎても麻痺が残っており、満足して退院する方は少なかったように思います。当時、私は入院期間しか携わることがなかったこともあり、退院後の実際の生活を見る機会はありませんでした。また私が務めていた地域には当時訪問リハビリなどは少なかったので、退院を勧める私たちも退院後に紹介できるリハビリ施設がありませんでした。その時、自分の中である想いが生まれました。「それだったら、自分が作ったらよいのではないか?」
思い立ったら行動は早く、また周りの後押しもあり、会社設立、事業開設まではあっという間に辿り着きました。しかし、長年病院勤務をしていた私に思わぬ落とし穴がありました。ご利用者さんが来るのは当たり前と勘違いしていたことです。病院勤務をしているときは患者さんが居て当たり前で、患者さんが来ることに何の疑問も抱いていませんでした。振り返ってみれば当たり前のことかもしれませんが、利用者さんがいないと会社の運営はできません。患者さん、利用者さんの来てくれることのありがたさを改めて感じました。
最近は地域の方々からの講演依頼が増えてきました。介護保険制度、地域包括ケアシステム、リハビリなどのテーマについて、お話しする機会をたくさんいただきます。地域包括ケアシステムの構築にあたり、けっして医療、福祉関係者から押し付けていくのではなく、まちづくりの一環として地域と一緒に構築していくことが重要だと思っております。地域住民に対して訪問看護、訪問リハビリの浸透はもとより、地域との医療、介護の橋渡し役として、作業療法士の一員として活動しております。
現在、宇和島地域、愛南地域で看護師8名、理学療法士5名、作業療法士3名、事務員3名で訪問看護ステーションを運営しております。来年の春にはリハビリを中心としたデイサービスを開設する予定です。これから地域包括ケアシステムが進むとともに、病院中心から在宅中心へとシフトすると思われます。その中で宇和島地域、愛南地域に住む皆さんが安心して医療、介護を受けることができるように、これからも尽力していきます。